2016.03.23

洗濯表示タグが洗濯不可の綿100%の帽子を手洗いした

現在、35歳の主婦です。国際結婚して欧州に住んでいます。私はかなりの敏感肌で肌が白く、夏場はUVケアにかなり気を使っています。と言うのも、日光に長時間さらされると日焼けではなく、赤っぽくただれた火傷状態になってしまうことがよく起こるからです。外出の際には帽子などを欠かしません。

ところが去年の夏、うっかり失念してしまったのです。在住国から子どもを連れて、夏休みの一時帰国をしたのですが、あろうことか「キャスケット」タイプの帽子を持ってきてしまいました。住んでいる場所は夏が短く冷涼な気候なので、日本のジリジリと暑い夏を長い間忘れてしまっていたのです。

そう、キャスケットではうなじや首の後ろ部分をガードできないのです。ついて数日後、ようやくその点に気づいた私は「これはいかん!首筋が焼けてしまうではないか!」と狼狽し始めました。たまたま実家の近くにリサイクルショップがオープンしたのでそこに飛び込み、帽子を物色しました。すると、奇跡のような美品で、しかもつばがたっぷりと広い綿の帽子があったのです!そしてお値段は150円。節約を信条とする私には願ったりかなったりです。早速その中古帽子を購入して、実家に帰りました。

さて、いくら美品といえど中古品ですから、帽子をそのままかぶるのは抵抗がありました。(最近はノミやシラミ被害も復活してきましたし。)そこで私は軽く洗濯を施してから、この帽子を使用しようと思ったのです。綿ですから、問題なく洗濯できると思いきや…

「素材の特性上型崩れしますので、お洗濯はお避けください」帽子裏側の洗濯表示にはそう書いてあり、洗濯マークのところにしっかり赤いバツ印がついていました。ええっ!?何で?綿100%なのに、洗濯ができないはずはないじゃない!と、私は慌てました。そこからは「洗うべきか、洗わざるべきか?」のマクベス式煩悶です。

「洗わずに頭に問題がわくよりは、洗って型崩れするほうがよっぽどいい!」とようやく結論にいたり、私は久しぶりに日本の「おしゃれ着用洗剤・エマール」を使って手洗いしたのです。実は内心、「ああやって表示に書いてはあるけど、結局洗ってどうもなかった…というケースも時々あるもんだ」と企んでもいました。一応丁寧に手洗いし、脱水は行いませんでした。ごくゆるく絞ったのみで水がしたたる状態にとどめ、形を極力整えて、陰干ししたのです。日本の暑い夏、帽子は熱風にさらされて、みるみるうちに乾いていきました…。

その日の午後、私は見事に「ヘタれた」感じの帽子を手にたたずんでいました。私は賭けに敗れたのです。近くでは両親が「でもさあ…150円だったんでしょ…?」と力なく突っ込んでいました(あるいはフォローだったのかもしれません)。

それでも私はその夏、このヘタレ帽子をかぶり続けていたのです。ヘタレてふにゃふにゃに波打った感が出たものの、広いつばは強力に日光を防いでくれますし、実用の点では問題が全くないのです。また、これ以降も汗をかくたびに何度も洗いました。私は汗っかきでもあるので、夏の帽子は洗えなければ使えない、くらいに考えています。汗っぽい嫌な臭いもなく、もちろん虫害のたぐいもありません。

さらに「ナチュラルスタイルの似合う私だから、このように適度にフニャった感覚こそが相応しいのだ」と開き直って考えるようになりました。やはり洗って正解であったのだ!と今は自分のしたことについて、後悔することはありません。そう、今でこそ私はゆるぎない信念を持って「この帽子は洗って使い続けるのだ!」そう思っています。横では夫(現地人)が「でもさあ、日本のリサイクルショップで150円だったんだよね、その帽子って…」と言って来ますが。物を大切に使い続けるにあたっては、時折気合いが必要とされることもあるのです。